【ヴェルダン 2月21日】
欧州大戦の西部戦線で本日、ドイツ軍がフランスの要衝ヴェルダン要塞に対する大規模攻撃を開始し、ここにヴェルダンの戦いが始まった。
早朝から周辺一帯に重砲の轟音が響き、塹壕線と林地は黒煙に覆われたという。独軍は多数の砲を集結させ、長時間の集中砲撃で前線を揺さぶったのち、歩兵が段階的に前進を試みたと伝えられる。フランス側は直ちに増援と火砲の投入を急ぎ、戦線の保持に全力を挙げている。
背景として、ヴェルダンはムーズ川流域の高地と道路網を押さえる防衛拠点で、周辺の要塞群は長くフランス防衛の象徴とも見られてきた。独軍参謀総長ファルケンハインがこの地を主目標に据えたとの観測もあり、補給路を断ち、守備兵力を消耗させる狙いがあるとの見方もある。一方、仏側にとっては陣地を失えば国内の士気に及ぶ影響も大きく、撤退は容易でない。両軍がこの一点に兵力と砲弾を注ぎ込めば、戦線全体の配分にも響くとして注目される。
現地の丘陵では、凍えた土が砲弾で掘り返され、塹壕の縁は崩れ落ちた。兵は耳を塞ぎ、伝令は泥と煙の中を走り、電話線はたびたび切れたという。観測所からは断続する閃光が見え、森林は火花を散らして倒れた。夕刻にかけても砲声は衰えず、ヴェルダン周辺は一日で別の地のように姿を変えた。今後、この攻勢がどこまで拡大するか、また仏軍がいかなる態勢で持ちこたえるかが焦点として注目される。
— RekisyNews 国際面 【1916年】
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