【ダーウィン 2月19日】
本日午前、北部豪州のダーウィンに対し日本海軍の艦上機を主力とする大規模な空襲が加えられた。警報が鳴り終わらぬうち港湾と飛行場上空に編隊が現れ、投弾と機銃掃射が相次いだ。湾内の輸送船や補給船は命中弾で傾き、埠頭の倉庫は火の粉を上げて燃え広がった。市街地でも爆風で窓が砕け、避難する住民が道路にあふれ、教会や公会堂が臨時の避難所として開放されたという。
現地筋によれば、攻撃は二度にわたり、第一陣はティモール海方面の空母群から発進した約188機が港と船団を狙い、続いて別働の爆撃隊が基地施設を中心に投弾したと伝えられる。対空砲火は上がったものの、急襲により迎撃は十分ではなかった模様だ。官憲筋の集計では死者二百四十三名に達し、負傷者も数百に及ぶ恐れがある。
豪州本土が空から直接攻撃を受けた例としては前例がなく、北部の防備と通信、補給線の確保が急務となった。夕刻、港の一角では救助艇が漂流者を引き上げ、赤十字の腕章をつけた看護人が負傷兵の応急手当を続けた。焦土と化した岸壁に立つ兵士は「次はいつ来るか分からぬ」と漏らし、町には早くも夜間灯火管制が敷かれている。
軍発表では軍用機も多数が地上で損壊し、港内では停泊中の数隻が沈没または大破した。滑走路には爆痕が点々と残り、燃料施設の火災は午後まで鎮圧できなかったという。北方からの侵入を警戒する哨戒は拡大され、周辺の集落にも退避命令が検討されている。本土の各紙はこの急襲が北部の要地に与える心理的衝撃を重く見ており、南方からの増援部隊と資材の急送が取り沙汰される。
— RekisyNews 国際面 【1942年】
