「走るホテル」北斗星、札幌へ ── 青函トンネル開業で寝台列車の新時代

【東京・上野 3月13日】

本日、青函トンネルの開業に合わせ、上野駅と札幌駅を直行で結ぶ寝台特急「北斗星」が運行を開始したのである。これまでの寝台列車=「狭く不自由な移動手段」という常識を打ち破るこの列車の登場は、日本の旅のスタイルを劇的に変える可能性を秘めている。

上野駅13番線ホームには、記念すべき一番列車をひと目見ようと、出発前から数千人の市民や鉄道ファンが詰めかけた。午後4時過ぎ、青い車体に金の帯を纏った「北斗星1号」がゆっくりと滑り出すと、ホームには歓声とフラッシュが渦巻いた。

「北斗星」最大の目玉は、その贅を尽くした設備にある。シャワー室やビデオモニターを備えた最高級個室「ロイヤル」をはじめ、従来のB寝台も個室化が進められた。さらに食堂車「グランシャリオ」では、オリエント急行を彷彿とさせる雰囲気の中で、本格的なフランス料理や懐石膳のフルコースが提供される。

青函トンネルの開通により、本州と北海道を乗り換えなしの16時間あまりで結ぶことが可能となった。「北斗星」は、単なるスピードアップを目的とした航空機への対抗策ではなく、移動そのものを楽しむ「ゆとり」と「豪華さ」を提案する、JRグループの威信をかけた挑戦である。

バブル景気に沸く日本において、一晩を贅沢に過ごしながら津軽海峡を越えるこの列車は、早くも数ヶ月先まで予約が埋まるほどの人気を見せている。北の大地への夢を乗せた蒼い特急の旅が、今、幕を開けた。

— RekisyNews 社会面 【1988年】 

アイキャッチ画像 出々 吾壱 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=106315461による

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