【サンクトペテルブルク 3月13日】
本日午後、ロシア帝国首都サンクトペテルブルクの運河沿いにおいて、皇帝アレクサンドル2世陛下が過激派組織による爆弾攻撃を受け、崩御された。農奴解放を成し遂げ「解放皇帝」と仰がれた君主の最期は、雪を血に染める凄惨なテロリズムによって幕を閉じた。
事件は皇帝が軍の検閲から冬宮へ戻る途上に起きた。第1の爆弾が皇帝の乗る鉄製の馬車を大破させたが、陛下は奇跡的に無傷であった。しかし、被害を確認し負傷した護衛を励まそうと陛下が馬車を降りられたその時、群衆に紛れていた実行犯イグナティ・グリネヴィツキーが第2の爆弾を陛下の足元に投げつけたのである。
爆発は陛下の両脚を激しく損壊し、居合わせた人々を恐怖に陥れた。陛下は直ちに冬宮へ搬送されたが、数時間後に息を引き取られた。実行犯のグリネヴィツキーも爆発に巻き込まれ死亡している。
皮肉にも、アレクサンドル2世陛下は本日、ロシアに議会制度の端緒を開く「憲法草案」への署名を決意されていたという。陛下の崩御により、帝位を継承するアレクサンドル3世皇太子は、亡き父の融和路線の失敗を教訓に、徹底した反動政治と専制の強化へ舵を切ることが確実視されている。
サンクトペテルブルクの市民の間には衝撃と沈痛な空気が広がっており、改革の旗手であった皇帝を失った帝国は、さらなる混乱と弾圧の時代へと突入しようとしている。
— RekisyNews 国際面 【1881年】
