【モスクワ 3月12日】
本日深夜、ソビエト連邦とフィンランドの両政府代表は、クレムリンにおいて平和条約に調印した。昨年11月30日のソ連軍侵攻に始まった「冬戦争」は、105日間にわたる凄惨な戦闘を経て、ついに終止符を打たれた。しかし、フィンランドに突きつけられた和平の代償は、当初の要求を上回る過酷な領土割譲であった。
条約の内容によれば、フィンランドは戦略的要衝であるカレリア地峡、第二の都市ヴィボルグ、およびラドガ湖周辺を含む南部領土の約10%をソ連に引き渡す。さらに、ハンコ半島を30年間にわたりソ連海軍基地として貸与することも決定した。これにより、約42万人の住民が、わずか数日のうちに住み慣れた故郷を離れ、着の身着のまま国内へ避難することを強いられている。
フィンランド軍は、マンネルヘイム元帥の指揮下、凍てつく森の中で「モッティ戦術(敵を分断し包囲する戦法)」を駆使し、赤軍の猛攻を幾度となく退けてきた。白い迷彩服に身を包み、スキーで音もなく移動するフィンランド兵の勇姿は、世界中の賞賛を浴びた。しかし、2月以降のソ連軍による物量に物を言わせた総攻撃を受け、防衛線はついに限界に達していた。
ヘルシンキの街では、停戦を知らせるサイレンと共に、市民たちが沈痛な面持ちでラジオの前に集まった。リチ・首相は国民に対し、「我々は独立を守り抜いた。しかし、そのために払った犠牲はあまりにも大きい」と悲痛な演説を行った。
この講和は、欧州の勢力図に深刻な影響を与えるだろう。ソ連は領土を拡大したが、小国に大苦戦したことで赤軍の弱体化を露呈した。一方、領土を奪われたフィンランドの国民感情は、将来のさらなる衝突という暗い影を落としている。
— RekisyNews 国際面 【1940年】
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