【東京・板橋 3月12日】
本日、東武東上線成増駅前の商業ビル「成増名店街」の地下1階に、新たなハンバーガーショップ「モスバーガー」の実験店舗が開店した。アメリカ発の大手チェーンが国内を席巻する中、日本人の舌に合う「至福の味」を追求する小さな店舗の挑戦が静かに始まった。
店名の「MOS」は、Mountain(山)、Ocean(海)、Sun(太陽)の頭文字から取られたもので、自然への愛と情熱を象徴しているという。わずか2.8坪という極めて手狭なスペースだが、創業者の櫻田慧氏らは、ここを理想のハンバーガーを完成させるための「実験場」と位置づけている。
モスバーガーの最大の特徴は、作り置きを一切せず、注文を受けてから調理を開始する「アフターオーダー方式」だ。また、ミートソースがたっぷりとかかった看板メニュー「モスバーガー」は、日本人の好む醤油や味噌を隠し味に加えるなど、既存のチェーン店とは一線を画す深い味わいを実現している。
開店初日の本日、地元の若者や学生たちが地下へと続く階段を降り、できたての熱いバーガーを頬張る姿が見られた。櫻田氏は「大きな店を作るよりも、一つ一つのバーガーを丁寧に作り、お客様に喜んでもらうことが目標だ」と語る。
この小さな地下店舗から発信される「日本独自のハンバーガー文化」が、果たしてどこまで大きく育っていくのか。大手チェーンへの挑戦状ともいえるモスの第一歩は、成増の駅前から力強く踏み出された。
— RekisyNews 文化面 【1972年】
