【東京 3月12日】
本日、東京・大手町の鉄道院内において、外国人旅行者の案内と誘致を専門とする新組織「ジャパン・ツーリスト・ビューロー」の創立総会が開催された。鉄道院や民間の船舶・ホテル会社が手を取り合い、官民一体となって日本の魅力を世界に発信する、わが国初の本格的なナショナル・ビューローが始動する。
設立の背景には、日露戦争後の厳しい財政状況がある。後藤新平鉄道院総裁は「観光こそが平和的かつ効率的な外貨獲得の手段である」と主張。これまでバラバラに行われていた外国人客の案内業務を集約し、無料の案内所設置や英文ガイドブックの作成、乗車券の一元管理など、欧米に引けを取らないサービスの提供を目指す。
ビューローの当面の目標は、欧米の富裕層をターゲットとした訪日促進だ。伝統的な社寺や自然景観に加え、近代化を遂げた都市の姿を「オリエンタル・モダン」として売り込む。本日選出された幹部らも「日本を正しく世界に紹介し、国際親善と経済発展の礎とする」と意気込みを語った。
現在、東京では2年後の完成を目指して東京駅の建設が急ピッチで進んでいる。この巨大な駅舎が完成したあかつきには、そこが世界と日本を結ぶ玄関口となり、ツーリスト・ビューローが案内する外国人客で賑わうことになるだろう。本日産声を上げたこの組織は、日本が「観光大国」へと歩み出すための歴史的な里程標となるに違いない。
— RekisyNews 経済面 【1912年】
