【モスクワ 3月11日】
本日、ソビエト連邦共産党は臨時総会を開き、政治局員のミハイル・ゴルバチョフ氏を新書記長に選出した。前任のチェルネンコ氏の死去を受け、わずか数時間での迅速な決定となった。54歳という、最高指導者としては異例の若さを誇る新リーダーの誕生は、停滞が続く超大国ソ連に劇的な変化をもたらすものと期待されている。
ゴルバチョフ氏は就任演説において、経済の加速化と社会体制の近代化を断行する決意を表明した。氏は、これまでタブー視されてきた党や政府の非効率性を是正し、国民への情報公開を進める「グラスノスチ」や、社会の抜本的再建を意味する「ペレストロイカ」の理念を掲げている。
1980年代に入り、歴代の老書記長たちが相次いで世を去る中で、活動的で弁舌鋭いゴルバチョフ氏の登場は、西側諸国からも注視されている。サッチャー英首相が「彼なら一緒に仕事ができる」と評した通り、冷戦下の緊張緩和(デタント)に向けた新たな外交攻勢も予想される。
モスクワの市民は、新書記長の親しみやすいイメージと力強い言葉に、生活の向上を夢見ている。クレムリンの赤い壁の向こう側で始まったこの世代交代は、単なる指導者の交代にとどまらず、20世紀後半の世界情勢を根底から揺り動かす巨大な変革の序曲となるかもしれない。
— RekisyNews 政治面 【1985年】
