小野田元少尉、ルバング島で任務解除 ── 戦後29年、ついに帰還へ

【フィリピン・ルバング島 3月10日】

本日、フィリピンのルバング島に潜伏し続けていた元陸軍少尉・小野田寛郎氏(51)が、かつての上官による軍命解除を受け、約29年にわたる孤独な任務を終えた。1945年の終戦を知らぬまま、ジャングルの中で戦い続けてきた「最後の日本兵」の一人が、ついに収容された。

小野田氏は本日午後、ルバング島の山中で、かつての上官である谷口義美元少佐と対面。谷口氏が読み上げる「任務解除」の命令書を直立不動の姿勢で聞き届けた。小野田氏は「いかなる状況下でも死んではならない、ゲリラ戦を展開せよ」との1944年の命令を忠実に守り続けていたのである。

驚くべきは、小野田氏が携行していた武器や装備の保存状態である。30年近くもの間、厳しい熱帯の環境にありながら、愛銃の九九式短小銃は完璧に手入れされ、弾薬も即座に使用可能な状態で維持されていた。また、着用していた軍服も自ら修繕を重ね、軍人としての威信を微塵も失っていなかった。

小野田氏は、自身の活動が現地で引き起こした摩擦についても深く陳謝する意向を示している。救出後、マニラへ移送された氏はマルコス大統領と会見し、軍刀を預けて降伏の儀式を執り行う見通しだ。日本中が高度経済成長と繁栄を享受する中、ジャングルに置き去りにされた「昭和」が、今ようやく終わりを告げようとしている。

— RekisyNews 国際面 【1974年】

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