気象庁富士山レーダー観測所、定時観測を開始

【富士山山頂 3月10日】

本日、日本最高峰・富士山山頂(標高3,776メートル)において、気象庁の「富士山レーダー」による定時気象観測が開始された。昨年9月の完成以来、厳しい冬の環境下で調整が続けられてきたが、本日をもって正式な運用体制へと移行。わが国の気象予報能力は、これによって飛躍的な進化を遂げることになる。

富士山レーダーの最大の特徴は、その圧倒的な観測範囲にある。日本列島の中央にそびえる富士山頂という立地を活かし、周囲約800kmにおよぶ広範囲の降水域や台風の雲を捉えることが可能だ。これまで日本の南海上から接近する台風は、船舶や航空機による断片的な情報に頼らざるを得なかったが、今後は陸上から直接、その勢力と進路を正確に監視できるようになる。

山頂の過酷な気象条件に耐えるため、レーダー本体は直径約9メートルの巨大な強化プラスチック製ドーム(ラドーム)の中に保護されている。建設に際しては、三菱電機による精密な技術提供に加え、ヘリコプターを用いた高高度での超重量物輸送という、世界でも類を見ない難工事が遂行された。

本日の運用開始により、予報精度の向上はもちろん、台風襲来時の早期警戒や防災活動に多大な貢献を果たすことが期待されている。日本の空を空高くから見守る「白い眼」は、文字通り国民の命を守る砦として、その第一歩を踏み出した。

— RekisyNews 科学面 【1965年】

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