【富山 3月9日】
本日、富山県神通川流域で長年猛威を振るってきた奇病「イタイイタイ病」の患者および遺族ら28名が、原因企業とされる三井金属鉱業に対し、総額6,076万円の損害賠償を求める訴訟を富山地方裁判所に提起した。四大公害病の中で、被害者が企業を相手に司法の場へ救済を求めたのは、今回が初めてのケースとなる。
原告団は訴状において、同社の神岡鉱山から排出された有害物質「カドミウム」が神通川を汚染し、その水を飲用や農業に利用した住民の体内に蓄積、骨軟化症を引き起こしたと主張。長年にわたり「イタイ、イタイ」と叫びながら命を落としていった犠牲者の無念を晴らすべく、企業の法的責任を厳しく追及する構えだ。
現在、政府による公害認定はまだ下されていないが、地元医師や研究者による執念の調査により、鉱山排水と被害の因果関係は濃厚とされている。これに対し、三井金属鉱業側は「医学的な因果関係は解明されていない」として、責任を全面的に否認する姿勢を見せており、法廷での激しい論戦が予想される。
「金よりも命が大事だ」。提訴後の会見で、原告の一人は声を震わせながら訴えた。高度経済成長の影で置き去りにされてきた地域住民の叫びが、ついに日本の司法を動かした。本日の提訴は、企業の利益第一主義に警鐘を鳴らし、国民の生命と健康を守るための歴史的な転換点となるに違いない。
— RekisyNews 社会面 【1968年】
