【東京 3月9日】
本日付の朝刊より、わが国の主要各紙は従来のブランケット判から、その半分の大きさであるタブロイド判へと一斉に姿を変えた。これは、極度に逼迫している新聞用紙を節約し、来たる4月から始まる新学制に向けた「教科書用紙」を捻出するための緊急措置である。
敗戦後の混乱とインフレーションが続く中、製紙業の回復は遅れており、用紙の不足は教育現場を直撃している。GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の要請を受け、新聞界は自らの誌面を大幅に縮小することで、新制中学校の教科書約1,500万冊分の用紙を確保することに同意した。
本日の紙面において、各社は「子供たちに教科書を」「ペンは剣よりも強し、しかし今は教科書が先だ」といった趣旨の告知を掲載。記事の文字数は制限され、広告スペースも大幅に削減されるという異例の事態となっている。市民の間では「読みづらくなった」という困惑の声がある一方で、「子供たちの将来のためなら致し方ない」と、この「紙の献納」を支持する動きが広がっている。
墨塗りの教科書から脱却し、真の民主主義教育を目指すための苦渋の選択。本日発行された小さな新聞は、物資なき時代において、次代を担う子供たちへ贈られた、ジャーナリズム界からの最大の「贈り物」と言えるだろう。
— RekisyNews 社会面 【1947年】
