【東京 3月8日】
本日、上野公園一帯を会場に今月20日から開幕する「東京大正博覧会」において、わが国初となるエスカレーターの試験運転が実施された。不忍池を見下ろす崖下に設置されたこの「自動階段」は、最新の科学技術を駆使した大正新時代の象徴として、博覧会最大の呼び物になることは間違いない。
本日公開されたエスカレーターは、第二会場である不忍池畔から、第一会場の本館方面へと続く急勾配に設置されている。全長は約60メートルに及び、階段状の踏み板がベルトコンベアのように連なってゆっくりと上昇していく。実際に試乗した関係者によれば、足元がそのまま動き出す感覚は「まるで魔法の絨毯に乗っているよう」だという。
製作を担った日本家屋製造株式会社は、米国の技術を参考に国産化に挑んだ。当初は機械の異音や振動が懸念されていたが、本日の試験では滑らかな動きを見せ、約10メートルの高低差を3分ほどで優雅に登り切った。乗客は立ったまま景色を眺めることができ、不忍池を眼下に望む絶景も楽しめる設計となっている。
博覧会では、このエスカレーターの他にも、日本初の「ロープウェイ(航空索道)」や、夜間を彩る壮麗な「イルミネーション」が披露される予定だ。日露戦争後の閉塞感を打ち破り、文化と技術の粋を集めた大正の春。上野に響く機械音は、日本の都市生活が新たなステージへと進むファンファーレのように聞こえる。
— RekisyNews 社会面 【1914年】
