【カターニア 3月8日】
本日、シチリア島の北東部にそびえるエトナ火山が、凄まじい轟音とともに大規模な噴火を開始した。ここ数日続いていた激しい群発地震が頂点に達し、南斜面の地割れから赤黒い溶岩が噴出。灼熱の奔流は猛烈な勢いで麓の村々へ向かっており、千年の歴史を持つ古都カターニアは未曾有の危機に瀕している。
今回の噴火は山頂ではなく、人里に近い低地で発生したことが被害を深刻化させている。噴火口からは巨大な岩石が吹き飛ばされ、空は厚い火山灰に覆われて昼なお暗い。溶岩流はすでにニコロジなどの村落を飲み込み、進路上の家々やオリーブ畑を跡形もなく焼き尽くしている。住民たちは家財を捨て、着の身着のままでカターニア市内へと避難を始めている。
カターニア市内では、司教や貴族たちが聖アガタの遺骸を掲げて祈りを捧げているが、自然の猛威を前に人々の不安は募るばかりだ。溶岩の進撃速度は時速数百メートルに達しており、このままでは数日のうちに街の強固な城壁に到達する恐れがある。市当局は住民に対し、港からの船による脱出も検討するよう呼びかけている。
この「大噴火」による犠牲者は、すでに避難が遅れた地域を中心に数千人に達しているとの情報もあり、最終的には1万人を超える悲劇となることが懸念される。地中海の楽園シチリアは今、大地から溢れ出した焔によって地獄の様相を呈している。
— RekisyNews 社会面 【1669年】
