【ペトログラード 3月7日】
本日午後6時45分、凍てつくフィンランド湾に重い砲声が響き渡った。ミハイル・トゥハチェフスキー司令官率いる赤軍部隊が、ボリシェヴィキ政府に叛旗を翻したクロンシュタット海軍基地への総攻撃を開始した。かつて10月革命において「革命の誇りと栄光」と称えられた水兵たちが、いまや「反革命の叛徒」として、自分たちが樹立を助けた政府の砲火にさらされている。
反乱は、ペトログラードの労働者によるストライキへの共感と、ボリシェヴィキによる独裁的支配への不満から爆発した。水兵たちは「自由なソヴィエト」「言論・出版の自由」「食料徴発の廃止」を掲げた15箇条の決議を採択。指導者のステパン・ペトリチェンコ氏は「我々は、共産党の専制を打破し、真の労働者の権力を取り戻すための『第三の革命』を呼びかけているのだ」と主張している。
これに対し、軍事人民委員のレフ・トロツキー氏は「無条件降伏しなければ、野鳥のように撃ち落とす」と最後通告を発していた。本日開始された攻撃では、数千の赤軍兵士が白い迷彩服に身を包み、凍結した海の上を突き進んでいるが、要塞側からの猛烈な反撃と氷の割落により、攻撃側にも多数の犠牲が出ている模様だ。
この同胞相食む惨劇は、ボリシェヴィキ政権にとっても深刻な危機を意味している。足元を支えていた水兵や農民の支持を失ったことが明白となり、モスクワで開催中の共産党大会では、これまでの過酷な「戦時共産主義」の是非を問う激しい議論が交わされている。
革命の落とし子たちが、自ら生み出した権力によって圧殺されようとしている。クロンシュタットを包む硝煙は、ロシア革命が迎えた最も暗い分岐点を象徴している。
— RekisyNews 国際面 【1921年】
