セルマで流血の惨事 ── 警官隊、公民権デモ隊を武力鎮圧

【セルマ(米アラバマ州) 3月7日】

本日午後、アラバマ州セルマにおいて、黒人の投票権を求めて平和的な行進を行っていた公民権運動のデモ隊が、州警察官および民兵隊による凄惨な武力鎮圧を受けた。エドマンド・ペタス橋を渡ろうとしたデモ隊に対し、警官隊は催涙ガスを投下し、警棒や馬の鞭で無抵抗の市民を次々と殴打。現場は逃げ惑う人々の悲鳴と煙に包まれ、まさに「血の日曜日」と呼ぶにふさわしい凄惨な光景が繰り広げられた。

今回の行進は、選挙人登録を拒まれてきた黒人たちの権利回復を訴え、州都モンゴメリーを目指して開始されたものだった。しかし、人種隔離政策を支持するジョージ・ウォレス州知事は「公共の安全を乱す」として行進を禁止。知事の命令を受けた警官隊は、橋の中央で待機し、デモ隊が警告に従わず前進を止めないと見るや、一斉に襲いかかった。

この鎮圧劇により、デモ隊の指導者の一人であるジョン・ルイス氏を含む数十名が重軽傷を負い、病院へ運ばれた。現場の一部始終はABCニュースなどのテレビ局によって全米に中継されており、無抵抗の市民が白昼堂々、国家権力によって暴行を受ける映像は、北部や西部の諸州にも大きな衝撃を与えている。

ワシントンでは、リンドン・ジョンソン大統領が今回の事態を重く見て、対応を協議しているとの情報がある。南部における根深い人種差別が招いたこの流血の悲劇は、単なる地方の事件に留まらず、アメリカ民主主義の根幹を揺るがす重大な政治問題へと発展するのは必至である。

正義を求める足音を暴力で止めることはできるのか。セルマの橋の上で流された血は、自由を求める戦いに新たな火を灯そうとしている。

— RekisyNews 国際面 【1965年】

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