【青森 3月7日】
本日、本州と北海道を結ぶ津軽海峡に、帝国鉄道庁直営の青函連絡船が就航した。午前10時、最新鋭の客貨船「比羅夫丸」が多くの見物客に見守られながら青森の港を離れ、北の大地・函館へと向けて歴史的な第一歩を踏み出した。
これまで青森・函館間は、日本郵船などの民間船が運航していたが、鉄道網の整備に伴い、国による一貫した輸送体制の構築が急務となっていた。本日就航した「比羅夫丸」は、イギリスのウィリアム・デニー・社で建造された日本初の蒸気タービン船だ。従来の蒸気船に比べて振動が少なく、速度も格段に向上しており、海峡をわずか4時間で結ぶ「海の特急」として期待されている。
しかし、開通初日の本日は、まだ「港の整備」という課題も浮き彫りになった。青森・函館の両港ともに、まだ大型船が直接接岸できる岸壁が完成しておらず、乗客たちは小舟(はしけ)に乗り換えて船へと向かう不便を強いられている。鉄道庁の関係者は「早期に桟橋を整備し、列車から船へ、淀みない輸送を実現したい」と意気込みを語る。
比羅夫丸に続き、来月には姉妹船「田村丸」も就航する予定だ。津軽海峡に立ち上る黒い煙と力強い汽笛は、北海道開拓のピッチを加速させ、日本列島を一本の太い絆で繋ぐ象徴となるだろう。
— RekisyNews 社会面 【1908年】
