「トットちゃん」旋風の予感 ── 黒柳徹子氏、自伝的物語『窓ぎわのトットちゃん』を刊行

【東京 3月5日】

本日、テレビ番組『徹子の部屋』の司会などで絶大な人気を誇るタレントの黒柳徹子氏の新著『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)が全国の書店で発売された。自身の幼少期を瑞々しい筆致で描いたこの物語は、戦前の自由な教育を実践した「トモエ学園」での日々を綴ったもので、刊行直後から教育関係者や子育て世代の間で大きな反響を呼んでいる。

本書の主人公「トットちゃん」は、小学校を退学になったばかりの少女だ。落ち着きがない、授業中に窓際でチンドン屋を待つ…といった理由で「困った子」扱いをされた彼女を丸ごと受け入れたのが、小林宗作校長が創設したトモエ学園だった。廃車になった電車の教室、自由な時間割、そして何より「君は、本当は、いい子なんだよ」という校長の深い愛情。物語は、型破りな教育が少女の個性をいかに伸ばしていったかを鮮やかに描き出している。

書名の「窓ぎわ」という言葉には、昨今社会問題化している「窓際族(職場での疎外)」という流行語を意識し、自身もかつて学校という組織の端に追いやられていたという思いが込められている。しかし、トモエ学園という場所は、そんな彼女に輝ける居場所を与えた

装画には、1974年に逝去した画家・いわさきちひろ氏の遺作が起用された。子供の純粋な魂を捉えた淡く繊細な水彩画が、物語の世界観と見事に調和しており、手に取る者の心を和ませている。黒柳氏は「いわさきさんの絵の中に、自分やトモエの仲間たちの姿を見つけた」と、起用の喜びを語っている。

現代の日本では、詰め込み教育の弊害が叫ばれて久しい。そうした中、本書が提示する「個性を尊重する教育」のあり方は、単なるタレントの回想録を超え、教育の根源を問い直す一冊として社会現象を巻き起こす兆しを見せている。

— RekisyNews 文化面 【1981年】

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