【クイビシェフ 3月5日】
ソビエト連邦の臨時首都クイビシェフ(現サマラ)において本日、現代最高の作曲家ドミートリイ・ショスタコーヴィチ氏による最新作、「交響曲第7番 ハ長調」の初演が行われた。ナチス・ドイツ軍による第二次世界大戦の猛攻、とりわけ凄惨な「レニングラード包囲戦」の最中に書き上げられたこの大作は、全土の国民に勝利への確信と不屈の闘志を植え付けた。
本日の初演は、サムイール・サモスード氏指揮のボリショイ劇場管弦楽団によって執り行われた。全4楽章、演奏時間約80分に及ぶこの巨大な交響曲のハイライトは、第1楽章に現れる不気味な「戦争の主題(侵入のテーマ)」だ。小太鼓の執拗なリズムに乗って、暴力的な旋律が徐々に音量を増し、聴衆を圧倒する。それは迫りくる侵略者の足音であり、同時にそれを跳ね返すソビエト人民の叫びのようでもあった。
ショスタコーヴィチ氏は、故郷レニングラード(現サンクトペテルブルク)が包囲され、飢えと砲火に晒される中で作曲を開始した。消防隊員として屋根に登り、焼夷弾を監視しながら譜面を書き進めたというエピソードは既に伝説となっている。氏は本日、「わが愛する街、そしてわが勝利にこの曲を捧げる」と声明を発表した。
会場となった文化宮殿は、最前線から一時帰還した兵士や疎開中の市民で埋め尽くされた。最終楽章の勝利を予感させる壮大なフィナーレが鳴り響くと、聴衆は総立ちとなり、涙を流しながら鳴り止まぬ喝采を送った。この交響曲はもはや単なる音楽作品ではなく、ファシズムに対する「精神の勝利」の象徴となった。
現在、この楽譜はマイクロフィルムに収められ、連合国であるアメリカやイギリスへと極秘に空輸される計画が進んでいる。ナチスの包囲網を突破して響き渡るこの「レニングラード交響曲」は、全世界に向けてソビエトの不撓不屈の精神を宣言することになるだろう。
— RekisyNews 文化面 【1942年】
