【イーストレイ 3月5日】
イギリス南部ハンパシャー州のイーストレイ飛行場において本日、スーパーマリン社が開発した新型戦闘機「スピットファイア」が、歴史的な初飛行に成功した。主任設計技師レジナルド・ミッチェル氏が心血を注いだこの機体は、その優美な姿と圧倒的な性能の予感により、詰めかけた関係者の目を釘付けにした。
午後4時35分、テストパイロットの「マズ」・サマーズ氏の操縦により、スピットファイアは軽やかに地上を離れた。約15分間の飛行中、機体は極めて安定した挙動を見せ、着陸後にサマーズ氏は「何も変える必要はない」と、その完成度の高さを絶賛した。
最大の特徴は、空気抵抗を極限まで抑えるために採用された美しい楕円翼だ。これにロールス・ロイス社の新型エンジン「マーリン」を搭載することで、時速350マイル(約560km/h)を超える高速性能が期待されている。また、機体構造には最新の全金属製モノコック構造が取り入れられており、従来の複葉機とは一線を画す次世代の戦闘機としての風格を備えている。
欧州情勢が緊迫の度を強める中、イギリス空軍(RAF)の近代化は急務となっている。本日、雲ひとつない春の空に描かれたそのシルエットは、将来的な防空の要となるだけでなく、やがて来るであろう第二次世界大戦の過酷な空域において、自由を守るための最強の翼となることを予感させた。
ミッチェル技師の情熱が生んだこの「火を吹く短気者」が、量産化を経ていつ実戦配備に就くのか。大英帝国の命運を握る「空の至宝」の物語は、ここイーストレイの地から始まった。
— RekisyNews 軍事面 【1936年】
