欧州戦争さらに拡大 イタリア、ドイツへ宣戦 ドイツはルーマニアに報復布告

【ローマ・ベルリン・ブカレスト 8月28日発】

欧州戦争は本日、新たな局面を迎えた。イタリア王国は同日、ドイツ帝国に対する宣戦布告を発表。これに対し、ドイツは即座にルーマニア王国へ宣戦を布告し、欧州各地での戦線はさらに拡大する見通しとなった。

イタリア政府は午後、議会で「祖国防衛と民族解放のため」として正式に宣戦を決議。昨年、イタリアはかつての同盟国オーストリア=ハンガリー帝国に対し宣戦を布告し、英仏側に加わっていたが、ドイツとの直接衝突は回避してきた。しかし、独墺軍のイソンツォ方面での攻勢が激化したことや、ルーマニアの参戦決定を受け、イタリアは戦線拡大を決断した。

一方、ドイツ政府はベルリンで「ルーマニアの行動は帝国の安全を脅かす」として宣戦を布告。ルーマニアは同盟国連合への参加を表明し、トランシルヴァニア地方への進軍を開始したばかりで、独軍との衝突は避けられない情勢だ。

ローマ市内では街頭に軍楽隊が繰り出し、群衆が「ドイツを打倒せよ」と唱和する一方、出征する兵士の家族の間では不安の声も漏れる。ブカレストでは、ルーマニア国王フェルディナンド1世が国民に向け「祖国の未来のため立ち上がれ」と演説し、市民は広場で国旗を掲げて応えた。

英仏両国はイタリアとルーマニアを支持し、ロシア軍も東部戦線での攻勢強化を準備中とされる。ドイツ側は西部・東部・南部の三正面での戦闘を強いられることとなり、戦局はますます流動化してきた。

欧州全土を覆う大戦の炎は、いま再び勢いを増している。

バルカン半島からアルプスまで、戦火は一気に広がる様相を見せている。

— RekisyNews 国際・欧州面 【1916年】

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