【独ライプツィヒ 3月3日】
本日、ライプツィヒの音楽の殿堂ゲヴァントハウスにおいて、同管弦楽団の常任指揮者フェリックス・メンデルスゾーン氏の新曲、交響曲第3番イ短調『スコットランド』が初演された。作曲者自らの指揮により奏でられたその旋律は、霧深いハイランドの情景とスコットランドの古の歴史を、壮大かつ繊細な管弦楽で描き出している。
この作品の着想は、今から13年前の1829年、メンデルスゾーン氏が英国を旅した際に得られたものだ。エディンバラのホリールード宮殿にある、悲劇の女王メアリー・ステュアートの廃墟となった礼拝堂を訪れた際、「ここで、私の交響曲の始まりを見つけた」と姉ファニーへ書き送った旋律が、長い年月を経てついに一つの完成された芸術として昇華されたのである。
本日の演奏において特筆すべきは、全4楽章が途切れることなく連続して演奏される(アッタッカ)という斬新な構成だ。冒頭の憂愁に満ちた主題から、スコットランドの民俗舞踊を彷彿とさせる第2楽章、そして嵐を予感させる情熱的なフィナーレまで、聴衆はあたかも北方の地を旅しているかのような没入感に包まれた。
メンデルスゾーン氏は、昨年からザクセン王の招きでベルリンの音楽監督も務めているが、この「音楽の都」ライプツィヒの聴衆は、彼らの愛する指揮者が生み出したこの傑作を、割れんばかりの喝采で迎えた。ロマン主義音楽の精華ともいえるこの交響曲は、ドイツ音楽の伝統と異国情緒を見事に融合させた、彼の中期を代表する不朽の記念碑となるだろう。
— RekisyNews 文化・芸術面 【1842年】
