ホワイトハウス前で婦人参政権活動家10人逮捕 大統領支持派と衝突

【ワシントン 8月28日発】

首都ワシントンのホワイトハウス前で本日、婦人参政権を求めるデモを行っていた活動家10人が警察により逮捕された。逮捕されたのは「全米女性党(NWP)」のメンバーで、ホワイトハウス正門前に横断幕を掲げ、ウィルソン大統領に対し女性への選挙権付与を求める抗議行動を続けていた。

現場では、第一次大戦への米国参戦を支持する市民らと活動家の間で口論が発生。ある男性は「戦時下に政府を批判するのは国を危うくする裏切りだ」と叫び、横断幕を引き裂こうとする騒ぎとなった。警察官数十人が出動し、混乱の末に活動家の一部が「公共の秩序を乱した」として拘束された。

今回逮捕された女性たちは、1月から続くホワイトハウス前での連続ピケ活動「サイレント・センチネルズ」の一員。彼女たちは無言で横断幕を掲げ続け、「大統領、女性にも民主主義を」と訴えてきた。目撃者によれば、逮捕時も抵抗はせず、静かに連行されたという。

ウィルソン政権は女性の選挙権について明確な態度を示しておらず、議会でも法案審議は停滞している。一方で、活動家たちは投獄を恐れず抗議を続ける構えで、「我々の権利は戦争より長く続く」との声明を出した。

ホワイトハウス周辺では、戦時下の愛国心と自由を求める声が交錯し、市民の間でも意見が二分されている。今後の司法判断と大統領の対応が注目される。

静かなピケ隊の姿は、一枚の横断幕を超えて、社会全体に問いを投げかけている。

— RekisyNews 社会・国際面 【1917年】

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