【江戸 3月1日】
前将軍徳川綱吉公の逝去からわずか10日。新体制への移行が進む江戸城において本日、世に「天下の悪法」とも称された「生類憐れみの令」の主要な条目の廃止が決定された。綱吉公が20年以上にわたって推し進めてきた極端な動物愛護政策は、その死とともに急速に幕を閉じることとなった。
本日、幕閣より発せられた布告によれば、犬をはじめとする生き物の殺生を厳禁し、違反者に厳罰を処してきた数々の法令が撤回される。これに伴い、中野などに設置されていた広大な野犬収容施設(犬小屋)の撤廃や、投獄されていた違反者たちの放免も順次進められる見通しだ。
綱吉公は臨終の際、次期将軍となる徳川家宣公に対し、本法令を継続するよう遺言したと伝えられている。しかし、家宣公とその側近である新井白石らは、民衆の困窮と社会の混乱を重く見て、異例の速さで廃止へと踏み切った。江戸の町中では「ようやく枕を高くして寝られる」と、庶民の間で安堵と喜びの声が広がっている。
儒学を重んじ、慈悲の政治を目指した綱吉公の理想は、あまりに過激な法運用によって民心の離反を招いた。この迅速な法廃止は、新将軍・家宣公による「正徳の治」の象徴的な第一歩となりそうだ。
— RekisyNews 社会・幕府面 【1709年】
