ヴァシーで礼拝中の信徒ら虐殺 ── 宗教対立激化、ついに武力衝突へ

【ヴァシー 3月1日】

フランス北東部シャンパーニュ地方のヴァシーにおいて本日、カトリック派の有力者ギーズ公フランソワの軍勢が、礼拝を行っていたプロテスタント(ユグノー)の信徒らを襲撃する惨劇が発生した。この衝突により、非武装の信徒ら数十名が死亡、数百名が負傷した模様だ。この事態を受け、国内の宗教対立は決定的な破局を迎え、全土を巻き込む内乱「ユグノー戦争」へと発展する公算が極めて高まっている。

目撃者の証言によると、ギーズ公の一行がミサに向かう途中、納屋で礼拝を守っていたユグノーたちの歌声が聞こえたことから諍いが始まったという。当初は口論であったものが、まもなくギーズ公の配下による武力行使へとエスカレートし、凄惨な虐殺へと至った。

摂政カトリーヌ・ド・メディシスは、今年1月に「サン・ジェルマン勅令」を発布し、プロテスタントに一定の信仰の自由を認めることで宥和を図ったばかりであった。しかし、今回の事件はこの勅令を真っ向から否定するものであり、カトリック強硬派による権力誇示の側面も指摘されている。

ユグノー側の指導者であるコンデ公やコリニー提督は、この暴挙に対して即座に抗議し、自衛のための武装を呼びかけている。長年蓄積されてきた宗教的、政治的怨嗟が、ヴァシーの流血を機に一気に噴出した格好だ。フランス王国の統一は今、深刻な危機に直面しており、暗雲漂う宗教戦争の時代が幕を開けようとしている。

— RekisyNews 社会面 【1562年】

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