【横浜 2月28日】
わが国の対外貿易を盤石なものとするための悲願、横浜正金銀行(Yokohama Specie Bank)が本日、ついにその営業を開始した。金銀貨(正金)による貿易決済を円滑に進め、外国銀行の独占状態にあった為替市場にわが国自らの手で参入するこの試みは、近代国家としての自立に向けた重大な一歩となる。
現在、わが国の貿易は拡大の一途を辿っているが、その決済の多くはメキシコ銀などの外国貨幣に依存しており、為替相場の変動や外国銀行の介入によって多大な不利益を被ってきた。福沢諭吉氏ら先覚者の提唱を受け、政府の全面的な支援のもと設立された同銀行は、輸出入業者に対する資金供給と外国為替業務を主軸に据える。
本日午前、横浜・本町の行舎には多くの商人や政府関係者が詰めかけ、歴史的な開店を祝った。ある生糸商人は「これまでは外国銀行の顔色を窺いながらの取引だったが、これからはわが国独自の銀行がある。これで世界の商人と対等に渡り合える」と、その期待を熱く語った。
横浜正金銀行は、今後ロンドンやニューヨークなど世界の主要都市に支店を構え、わが国の経済的地位を高めるための重要な役割を担うことになるだろう。単なる一銀行の誕生にとどまらず、「世界のヨコハマ」を拠点に日本の富を国際市場へと繋ぐこの血脈が、明治の近代化を力強く加速させることは間違いない。
— RekisyNews 経済面 【1880年】
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