【カルカッタ 2月28日】
インドの物理学者チャンドラセカール・ラマン教授は本日、光が物質を透過する際にその波長が変化するという、物理学の根幹を揺るがす新現象を発見したと発表した。「ラマン効果」と名付けられたこの発見は、光と物質の相互作用に関する我々の理解を根底から塗り替えるものであり、世界の科学界に計り知れない衝撃を与えている。
ラマン教授は、液体中に強力な単色光を照射した際、散乱された光の中に、元の光とは異なる波長(色)を持つ微弱な光が含まれていることを実験によって突き止めた。これは、光の粒子が物質の分子と衝突し、エネルギーを授受することで引き起こされる現象である。これまで、空が青い理由として知られる「レイリー散乱」では光の色は変化しないとされてきたが、ラマン教授は粘り強い実験の末に、この「色の変化」という極めて微細な真理を捉えることに成功したのである。
教授はこの発見について、「海の色がなぜ青いのかという単純な問いから始まった探求が、物質の分子構造を映し出す鏡に辿り着いた」と語っている。この散乱光のパターンを解析することで、物質を破壊することなくその化学的な性質を特定できる可能性があり、今後の化学や医学の発展に革命的な進歩をもたらすと期待されている。
カルカッタの大学研究室という、限られた設備の中から生まれたこの発見は、東洋の英知が世界の最先端に到達した証左でもある。光という身近な存在に隠されていた宇宙の精緻な仕組みを暴き出したラマン氏の功績は、科学史における不滅の輝きとして語り継がれることになるだろう。
— RekisyNews 文化面 【1928年】
