【東京 2月28日】
東京帝国大学史料編纂掛は本日、長年にわたる編纂事業の最初の結実である『大日本史料』(第六編の一)を刊行した。わが国の歴史を後世に正確に伝え、学術的な土台を固めることを目的とした本事業は、明治政府の修史事業を継承するものであり、学界から大きな期待を寄せられている。
今回刊行が始まった『大日本史料』は、宇多天皇の即位(887年)から明治維新に至るまでを年代順に整理する、前例のない壮大な計画である。編纂掛は、国内外に散在する古文書や記録を網羅的に調査し、それらを厳密に校合した上で、当時の政治・経済・文化の実相を客観的に裏付ける一級史料を集成。これまで曖昧な解釈に委ねられていた歴史記述に対し、一次史料に基づいた科学的な検証を可能にする、実証主義的な歴史学の金字塔を目指している。
編纂掛の現場では、日々膨大な古文書の解読と照合が進められており、担当者は「一字一句の誤りも許されない作業だが、これこそが国史の背骨を作る仕事である」と、その使命感の重さを語る。
本日世に送り出されたこの一冊は、単なる記録の集積ではない。千年の時を超えて眠っていたわが国の記憶を、確かな手法で現代に蘇らせようとする試みである。編纂作業は今後も数十年に及ぶ果てしない道のりとなるが、その地道な歩みこそが、将来の日本史研究における揺るぎない礎となるだろう。
— RekisyNews 文化面 【1901年】
