エリアス・リョンロート編纂、フィンランド叙事詩『カレワラ』本日出版

【ヘルシンキ 2月28日】

フィンランドの地から、ついに民族の魂とも呼ぶべき壮大な物語が産声を上げた。医師であり言語学者でもあるエリアス・リョンロート氏が、長年にわたってカレリア地方などの僻地を巡り、民衆の間に伝承されてきた古歌を採録・編纂した叙事詩『カレワラ(Kalevala)』が本日、ついに出版された。

今回の出版の背景には、隣国の大国による支配が続く中で、自らの言語と文化の根源を守り抜こうとするフィンランド知識層の切実な願いがある。リョンロート氏は、何世紀にもわたって口承で伝えられてきた数万行に及ぶ韻文を丹念に収集。天地創造から、賢者ワイナミョイネンを中心とする英雄たちの冒険、そして神秘の宝「サンポ」を巡る争奪戦までを、一貫した物語として見事に再構成した。

本日、ヘルシンキの書店に並んだ本書を手に取った文人たちは、その美しく力強い韻律に驚きを隠さない。これまで公的な場や学問の世界ではスウェーデン語が主流であったが、『カレワラ』の登場により、フィンランド語が芸術や哲学を表現しうる豊かな生命力を持つ言語であることが証明された。ある若い学徒は「我々はこれまで自分たちの物語を持たない民だと思っていたが、リョンロート氏はこの書を通じて、我々の内にある誇りを目覚めさせてくれた」と熱烈に語った。

この『カレワラ』がいかにして民族意識の柱となり、音楽や絵画といった芸術分野にインスピレーションを与えていくのか。北欧の厳しい自然と人々の知恵が織りなすこの物語は、単なる文学作品を超え、フィンランドという国のアイデンティティを支える不滅の聖典として、歴史にその名を刻むことになるだろう。

— RekisyNews 文化面 【1835年】

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