【東京 2月26日】
雪に覆われた帝都は本日未明、かつてない軍事的混乱に包まれた。陸軍の青年将校らに率いられた第一師団の兵士ら約1,500名が、「昭和維新・尊皇討奸」を掲げて蜂起。首相官邸や各閣僚の私邸を襲撃する大規模なクーデターを断行した。この攻撃により、内大臣・齋藤實、大蔵大臣・高橋是清、陸軍教育総監・渡辺錠太郎らが殺害されるという、戦慄の惨劇が繰り広げられた。
今回の決起の背景には、陸軍内の「皇道派」将校らが抱く、腐敗した政財界への激しい憤りと、天皇親政による国家改造の要求がある。彼らは機関銃や歩兵銃で武装し、永田町の政府中枢部を盤石なまでに占拠。警視庁や陸軍省を包囲し、一帯を完全に制圧した。帝都には戒厳令の気配が漂い、軍隊が軍隊を討つという未曾有の危機的状況を前に、国家の機能は麻痺状態に陥っている。
現場となった赤坂や永田町周辺では、物々しい軍靴の音と銃声が響き渡り、避難する住民や事態を静観する憲兵隊で異様な緊迫感がみなぎっている。政府高官らが非業の死を遂げたとの報が伝わると、市民の間には言葉を失うほどの衝撃が広がった。ある目撃者は「雪の中に軍隊が現れ、あちこちで銃声がした。まるで戦場になったかのようだった」と、震える声でその凄惨な状況を振り返った。
若き将校たちの凶弾に倒れた重臣たちの空白は、あまりに重い。深々と降り積もる雪は、帝都を赤く染めた流血を覆い隠そうとするが、国家の根幹を揺るがしたこの激震の余波は、決して消えることはない。
— RekisyNews 戦報 【1936年】
