「新円」への切り替え開始 ── 金融緊急措置、窓口に市民殺到

【東京 2月25日】

戦後日本のインフレ抑制を狙った国家の「荒療治」が、いよいよ正念場を迎えた。政府が断行した「金融緊急措置令」に基づき、本日、旧円と新円の交換業務が全国の金融機関で開始された。手持ちの旧紙幣は原則として預金強制され、引き出しが厳格に制限される中、生活資金を確保しようとする市民が銀行の窓口に殺到。わが国の経済秩序を再建するための「通貨の入れ替え」は、国民生活に巨大な衝撃を与えている。

今回の措置の背景には、終戦直後の激しい物不足と通貨乱発による「超インフレ」の阻止という至上命令がある。渋沢敬三蔵相率いる大蔵省は、市中に溢れる旧紙幣を強制的に封じ込めることで通貨流通量を激減させ、物価の安定を盤石にする狙いだ。旧紙幣は3月2日をもって通用が禁止され、それ以降は証紙を貼ったものか、新たに発行された「新円」のみが有効となる。これは、国民の資産を国家が把握し、事実上の財産税を課すための伏線であるとの見方も強く、富裕層から一般市民まで強い危機感を募らせている。

現場となった都内の銀行ロビーは、早朝から長蛇の列ができ、整理に当たる警察官の怒鳴り声が響くほどの混乱を極めている。人々は古びた風呂敷に詰めた旧円の束を握り締め、「明日からの米が買えるのか」と不安げな表情で交換を待っている。ある主婦は「一生懸命貯めたお金が使えなくなると聞いて、居ても立ってもいられず並びました」と、疲弊した表情で語った。一方で、窓口では新しく刷り上がったばかりの聖徳太子像の新円札が配られ、その真新しい手触りに、わずかながら復興への希望を見出す者の姿もあった。

この新円切り替えが、インフレ抑制の劇薬となり、わが国経済の健全化を盤石なものにするのではないかとの見方もある。しかし、この強引な預金封鎖が国民の政府への不信を招き、後の闇経済の拡大や資産構成にいかなる歪みをもたらすのか。戦後復興という未曾有の荒波の中で、人々の財布を直撃したこの「紙切れの交代劇」が、明日の日本をいかなる方向へ導くのか、その歩みが鋭く注目される。

— RekisyNews 経報 【1946年】

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