【パリ 2月23日】
自由を求める民衆の怒りが、ついに花の都パリで爆発した。昨日から続く選挙法改正を求める大規模なデモは、本日、軍隊による発砲事件を機に本格的な「二月革命」へと発展。市内各所には無数のバリケードが築かれ、労働者や学生、市民軍が国王ルイ・フィリップの退位を求めて武装蜂起した。この混乱は、ウィーン体制下の抑圧に喘ぐ欧州全土へ波及し、「諸国民の春」を呼び起こす大嵐となる。第二次世界大戦にも比肩しうる歴史の転換点が、今まさにセーヌ川の両岸で刻まれようとしている。
暴動の背景には、深刻な不況による失業者の増大と、保守的なギゾー内閣による頑迷な制限選挙の維持がある。富裕層にのみ権力を集中させる現体制に対し、中産階級や労働者は「改革宴会」と呼ばれる政治集会を通じて異議を唱えてきた。しかし、政府がこの集会を禁止したことで民衆の不満は頂点に達し、「改革か、死か」を掲げる革命勢力が結集。ナポレオン時代以後の社会秩序を根底から揺るがす、共和制再興に向けた激しい潮流が形成されている。
現場となったパリ市街は、引き剥がされた石畳と倒された馬車によるバリケードに埋め尽くされ、異様な熱気に包まれている。ブールヴァール(大通り)では、犠牲者の遺体を荷車に乗せた群衆が「復讐せよ」と叫びながら行進し、それに呼応する民衆の歌声と銃声が夜の静寂を切り裂いている。ある学生は、手製の赤旗を掲げながら「我々が求めているのはパンではない、尊厳と一票だ」と血走った目で語った。チュイルリー宮殿周辺では近衛兵が守備を固めているが、軍隊の一部が民衆側へ寝返るなどの混乱も報告されており、王政の崩壊はもはや時間の問題との見方が強い。
この二月革命による王政打倒が、フランスに史上初の男性普通選挙をもたらし、社会主義的な理想を掲げる第二共和政へと舵を切らせるのではないかとの見方もある。また、この革命の火種が国境を越え、全欧州の君主制を根底から揺るがす未曾有の連鎖反応を引き起こすのか。パリの街角で流された血が、近代民主主義の歴史にいかなる新章を刻むのか、そのゆくえが鋭く注目される。
— RekisyNews 外報 【1848年】
