【ロンドン 2月23日】
戦後の世界経済再建へ向けた歴史的な枠組みが、本日ついに産声を上げた。ロンドンに集結した25カ国の代表団は、工業製品や技術の国際的な共通規格を策定する国際標準化機構(ISO)の正式発足を宣言した。これは、国ごとに異なっていたネジの規格から品質管理の基準に至るまで、「世界の物差し」を統一することで貿易を円滑化し、人類共有の知的資産を構築しようとする壮大な試みである。戦後復興が急務となる中、この標準化の波が国境を越えた産業の統合を加速させる決定的な鍵として、世界中の商工業者から熱い視線を浴びている。
今回のISO発足の背景には、第二次世界大戦が露呈させた「規格不一致」という深刻な課題がある。戦時中、同盟国間であっても部品の互換性がないために生じた膨大なロスは、近代産業における共通言語の欠如がいかに致命的であるかを痛感させた。これを受け、1946年のロンドン会議を経て、先行する「国際標準化基金(ISA)」の流れを汲む形で、非政府組織としての強力な連携体制が構築された。ジュネーブに本部を置くことが決定したこの新組織は、単なる技術協力の域を超え、世界貿易の活性化と技術革新の波及を支えるインフラとしての役割を担うことになる。
現場となったロンドンの議場では、言語や文化の壁を越え、一つのテーブルを囲む各国代表たちの真剣な議論が続いている。配布された資料には、各国の工業規格が複雑に並んでいるが、「標準化こそが平和と繁栄への近道である」という共通の理念が、会場の空気を一つに束ねていた。ある代表は、使い慣れた自国の計測器を傍らに置きながら、「これからは自分の国の尺度を押し付けるのではなく、世界に通用する尺度を共に創る時代だ」と感慨深く語った。窓の外に広がる戦火の傷跡が残るロンドンの街並みとは対照的に、議場内は未来のグローバル・スタンダードを設計せんとする静かな情熱に満ち溢れている。
このISOによる規格統一が、製造業の効率を飛躍的に高め、消費者に対する品質保証の新たな指針を確立していくのではないかとの見方もある。技術という名の「共通言語」を手にした世界経済が、かつてのブロック経済を排した自由で開かれた国際市場をいかに強固に構築していくのか、その行方が鋭く注目される。
— RekisyNews 経済面 【1947年】
