【東京 2月21日】
大正バブルの余波と関東大震災後の不況に喘ぐ日本経済に、またも激震が走った。
本日、わが国屈指の機械商社である高田商会が巨額の負債を抱えて行き詰まり、事実上の破綻に追い込まれた。これに連動し、同社の機関銀行として資金繰りを一手に支えていた永楽銀行も、本日より全店で休業に入ることを発表。兜町や日本橋の金融街は、有力商社の倒産という衝撃的な報に騒然となっている。
高田商会は、海外からの機械輸入や軍需品納入で巨万の富を築き、一時はわが国経済を牽引する存在であった。しかし、震災による在庫の焼失や取引先からの代金回収遅延に加え、放漫な経営による資金の固定化が深刻化。メインバンクである永楽銀行が同社に過度な融資を行っていたことが仇となり、高田の行き詰まりがそのまま銀行の資金枯渇へと直結した。本日、永楽銀行の各支店前には、預金の払い戻しを求めて詰めかける群衆が後を絶たず、警察が出動して警戒に当たる事態となっている。
現場の金融関係者によれば、今回の破綻は氷山の一角に過ぎず、同様の「機関銀行」を抱える他の商社や銀行にも危機が波及する恐れがあるという。大蔵省は事態を重く見て、銀行救済のための緊急融資や預金者保護の検討に入ったが、市場の不信感は容易には拭えそうにない。とりわけ、震災手形の問題が解決を見ない中での今回の事件は、わが国金融システムの脆弱性を露呈させる形となった。
この有力商社の破綻と銀行休業の連鎖が、今後の日本経済に深刻なデフレ不況を招くのではないかとの見方もある。また、経営の透明性や銀行と企業の癒着を是正する抜本的な改革が急務であるとの声も高まっている。長い動乱の序曲とも言えるこの金融不安が、国民の生活や今後の産業界にいかなる暗雲を落とすのか、その推移が厳しく注目される。
— RekisyNews 経済面 【1925年】
