「鉄の馬」が軌道を駆ける ── トレビシック氏、世界初の蒸気機関車の試運転に成功

【ウェールズ・ペニダレン 2月21日】

人類が馬の力に頼らずに大量の荷を運ぶ、新しい時代の幕が開いた。本日、ウェールズ南部のペニダレン鉄工所において、エンジニアのリチャード・トレビシック氏(32)が開発した、世界初となる蒸気機関車の走行試験が実施された。これまで鉱山内での揚水や定置式として利用されてきた蒸気機関を、車輪を持つ車両に搭載して自走させるという画期的な試みは、見事に成功を収めた。

本日の試験走行では、トレビシック氏の機関車が10トンの鉄材と、それを見守るための野次馬を含む70名の人間を乗せた5両の客車を牽引。約15.6キロメートル(9.75マイル)に及ぶ鋳鉄製の軌道を、約4時間かけて完走した。トレビシック氏が開発した機関は、従来のワット型とは異なる「高圧蒸気」を利用したもので、装置の小型化と高出力を同時に実現している。現場では、巨大なはずみ車を回しながら蒸気を吹き出し、力強く進む「鉄の怪物」の姿に、集まった鉱山関係者や住民から驚嘆と歓喜の声が上がった。

しかし、技術的な成功の一方で、課題も浮き彫りとなった。機関車自体の重量が約5トンに達するため、従来の馬車用に設計された鋳鉄製レールが重みに耐えきれず、走行中に複数箇所で破損した。トレビシック氏は「レールの強度さえ確保できれば、さらに高速での運行も可能だ」と自信をのぞかせているが、実用化に向けてはインフラ整備の大幅な見直しが必要となる。

この「動く蒸気機関」の登場が、陸上輸送の速度と効率を劇的に向上させ、今後の産業革命の進展に決定的な役割を果たすのではないかとの見方もある。また、運河や馬車に代わる新たな物流主役としての可能性が示されたことで、鉄道という概念そのものが社会構造を根底から変えるきっかけとして広く注目される。石炭と蒸気が紡ぎ出す「煙の時代の到来」が、世界の距離をどこまで縮めていくのか、その行く末が注視されている。

— RekisyNews 社会面 【1804年】

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