【ミュンヘン 2月21日】
ドイツ革命の嵐が吹き荒れる中、バイエルンの政治的混乱は最悪の局面を迎えた。本日午前、ミュンヘン市内において、バイエルン自由州の初代首相クルト・アイスナー氏(51)が、右翼組織の青年アントン・アルコ・ファーライ伯爵(22)によって暗殺された。昨年の11月革命を主導し、王制を廃止して共和制を宣言した稀代の革命家の急死により、バイエルンの情勢は一気に一触即発の危機に陥っている。
事件は、アイスナー氏が総選挙での敗北を受けて首相辞任を表明するため、州議会へ向かっている途中に起きた。背後から接近したアルコ・ファーライが至近距離で拳銃を2発発射。弾丸はアイスナー氏の頭部と胸部を貫き、氏はその場に崩れ落ちて即死した。犯人のアルコ・ファーライは現場の警備員により重傷を負わされ拘束されたが、その犯行の背景には、ユダヤ系で社会主義者のアイスナー氏によるバイエルン革命への反感と、急進的な右翼思想があったものと断定されている。
現場となったプロムナード通りでは、銃声を聞きつけた市民がパニックに陥り、怒りに震える労働者たちが続々と集結している。アイスナー氏は、ドイツの第一次世界大戦における戦争責任を公表しようとするなど、守旧派や軍部からは「裏切り者」として激しく敵視されていたが、一方で民衆からは新しい時代の象徴として絶大な支持を得ていた。
この指導者の死が、既存の政府と過激な左派勢力との対立をさらに激化させ、さらなる流血の事態を招くのではないかとの見方もある。また、ミュンヘン市内では早くも報復を叫ぶ共産主義者らによる武装蜂起の予兆が見られ、バイエルン全土が混迷を極めるソビエト共和国樹立への道を突き進むのか、今後の動向が国際的にも鋭く注目される。
— RekisyNews 社会面 【1919年】
