東京日日新聞、本日創刊

【東京 2月21日】

文明開化の音が響く帝都において、新たな情報の窓が開かれた。本日、浅草茅町(現在の台東区)にて、わが国初の日刊新聞の一つとなる『東京日日新聞』(現在の毎日新聞)が創刊された。創設に携わったのは、戯作者として名高い仮名垣魯文や、浮世絵師の落合芳幾、さらに岸田吟香ら、当時の文化・経済界を代表する才人たちである。

これまでも「新聞」と称する刊行物は存在したが、多くは不定期の海外情報や雑報に留まっていた。しかし、本日産声を上げた『東京日日新聞』は、「日刊」という形式にこだわり、政府の布告から市中の事件、さらには世俗の話題までを、広く迅速に庶民に届けることを目的としている。紙面は当初、錦絵新聞の形態を意識しており、芳幾による鮮やかな挿絵が、活字に不慣れな読者の目をも楽しませている。

今朝の創刊号を手にした浅草の町衆からは、「都の出来事がその日のうちに知れるとは便利な世になった」と驚きの声が上がっている。編集に携わる岸田吟香氏は、自ら執筆した鋭い社会批評や実益情報の提供を通じて、近代国家としての啓蒙活動の一翼を担う覚悟を示している。

この『東京日日新聞』が、今後わが国のジャーナリズムや世論の形成にどのような役割を果たしていくのか。また、乱立する新聞業界の中で、いかにして読者の信頼を勝ち得ていくのか。新しい時代の「目」となるべく踏み出した一歩は、言論の自由や情報の流通を根本から変えうるものとして、知識層や政府関係者からも高い関心を持って注目される。

明治という新時代、紙の上の文字が人々の暮らしや意識をどう揺り動かしていくのか。その広がりは、文明開化のさらなる加速を予感させるものとしての見方もある。

— RekisyNews 社会面 【1872年】

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