「オルレアンの乙女」異端の審理へ ── ジャンヌ・ダルク、ルーアンにて最初の尋問に臨む

【ルーアン 2月21日】

百年戦争においてフランスに奇跡の勝利をもたらした「乙女」が、今、最大の窮地に立たされている。本日、イングランド占領下のルーアンにおいて、フランスの国民的英雄であるジャンヌ・ダルク(19)に対する異端審問の第一回公判が開始された。これは、昨年コンピエーニュの戦いで捕らえられた彼女を、イングランド側が宗教的な罪に問い、その政治的・軍事的正当性を根底から覆すことを目的とした歴史的な裁判である。

審理の舞台となったのはルーアン城内の礼拝堂である。ボヴェ司教ピエール・コーションを裁判長とし、厳格な神学者や教会法学者が居並ぶ中、ジャンヌは鎖につながれたまま姿を現した。彼女は「神の啓示」を受けたと主張し、農村の娘でありながら軍を率いてシャルル7世を戴冠させたが、審問官たちは彼女の男装や、教会を通さず直接神の声を聞いたとする主張を、キリスト教の教義に背く異端の証拠として厳しく追及した。

ジャンヌは、周囲を囲む多くの知識人を前にしても怯むことなく、自らの信仰と「声」の真実性を訴え続けた。特に「神の恵みの中にいるか」という巧妙な問いに対し、彼女は「もしそうでなければ神が私を恵んでくださいますように、もしそうであれば神が私をそこに留めてくださいますように」と答え、審問官たちを驚かせる一幕もあった。しかし、裁判はイングランドの強い政治的圧力を受けており、公正な判決が下されるかどうかについては悲観的な見方もある

聖女か、あるいは魔女か。この裁判の結果は、フランス王位の正統性のみならず、今後の百年戦争の行方やカトリック教会の権威にも重大な影響を及ぼすものとして世界的に注目される。孤立無援の少女が、巨大な宗教裁判という権力にどこまで抗えるのか、その推移が注視されている。

— RekisyNews 社会面 【1431年】

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