【ニュージャージー 2月19日】
本日、発明家トーマス・エジソン氏は、音声を記録し再生する驚異の新装置「フォノグラフ(蓄音機)」の特許を取得した。この発明は、これまで空中に消えゆくのみであった「人間の声」や「音楽」を、目に見える形に刻み込み、再び呼び戻すことを可能にするものであり、科学界および一般市民に大きな衝撃を与えている。
エジソン氏が開発したこの装置は、錫箔(すずはく)を巻き付けた円筒(シリンダー)を回転させ、振動板に固定された針で音の振動を溝として刻む仕組みだ。再生時にはその溝を再び針でなぞることで、金属的な響きながらも、明瞭に録音時の音声を再現することができる。昨年末のデモンストレーションにおいて、エジソン氏自らが『メリーさんの羊』を吹き込み、機械がその一節を正確に「歌い返した」瞬間、居合わせた人々は魔法を目の当たりにしたかのような沈黙に包まれたという。
現在、メンロパークの研究所には、この新時代の利器を一目見ようと多くの人々が詰めかけている。エジソン氏は、この「語る機械」の用途について、手紙の代わりとなる音声録音や、盲人のための読書補助、さらには家族の声を後世に残すための記録手段など、多岐にわたる展望を示している。
市中では「死者の声すら蘇らせる不気味な術」と訝しむ声もあるが、多くの者は、この発明が通信や娯楽の概念を根底から覆すものと期待を寄せている。電信、電話に続く、音を巡る科学の勝利は、人類の歴史に新たな一頁を刻んだ。今後は、錫箔に代わるより耐久性の高い記録媒体の研究も進むと見られ、家庭で音楽を楽しむ日が来るのも、そう遠い未来ではないのかもしれない。
— RekisyNews 社会面 【1878年】
