羽田飛行場、開港 東京の空の玄関が始動

 【東京・羽田 8月25日】

本日、東京市営の「羽田飛行場」が正式に開港し、首都圏の旅客・郵便・貨物を担う新たな空の玄関が動き出した。滑走路は芝生を主体とした平坦地で、格納庫と給油設備、旅客待合所を備える。開港式では試験飛行と機体展示が行われ、家族連れや事業家で賑わった。

当面は民間航空会社の定期便と郵便機の発着が中心で、東京―近畿・九州方面の所要時間は鉄道・船舶に比べ大幅に短縮される見込みだ。鮮魚や生花など生鮮の輸送、急ぎ公文書の送達など、時間価値の高い需要を狙う。

施設面では、旅客の改札・手荷物取り扱い、簡易検査窓口を整え、場内通信を担う無線局と風向標を常備。消防・救難の態勢、気象観測の体制も順次強化される。夜間照明と無線標識の拡充、場周道路の改良は今後の課題として計画に盛り込まれた。

市街からの足は、市電や乗合自動車の接続で確保。河口の堤防道路には誘導標が設けられ、案内所では運賃・時刻の掲示が始まった。沿線では宿泊と土産の需要を見込み、新規出店の動きも出ている。

航空は天候に敏感で、騒音・安全への配慮も欠かせない。市は運用規程を定め、住民説明と見学会で理解を広げる方針だ。将来は格納庫増設や離着陸帯の延長、海上機用設備の検討まで視野に入る。東京の時間と地図は、きょう空から描き替えられ始めた。

— RekisyNews 経済・交通面 【1931年】

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