【ワシントン 2月18日】
日米両政府間で懸案となっていた日本人移民問題を巡り、本日までに「紳士協定」と呼ばれる外交上の合意が正式に成立した。これにより、日本政府は今後、米国本土への新規移民に対し、旅券の発給を自発的に制限する措置を講じることとなる。太平洋を挟んだ両国の緊張状態は、法的な排斥ではなく、相互の信頼に基づく「自主規制」という形での決着を迎えた。
事の発端は、米国西海岸を中心に激化した日本人移民への排斥運動にある。一昨年のサンフランシスコ市教育委員会による日本人学童の隔離収容問題以来、両国関係は急速に悪化。米国内では日本人の勤勉さが労働市場を脅かすとの声が上がり、一時は武力衝突さえ懸念される事態に陥っていた。これに対し、セオドア・ルーズベルト大統領は、日本側の名誉を傷つけるような排日移民法の制定を回避しつつ、実質的な流入制限を実現する道を模索してきた。
本日合意された協定に基づき、日本政府は今後、労働目的で渡米を希望する者への旅券発給を原則として停止する。ただし、既に米国に居住している者の家族や、農業への投資家、学生などは制限の対象外とされる見通しだ。日本側としては、国民の海外発展を抑制せざるを得ない苦渋の選択となったが、国際社会における対米関係の安定を最優先した形である。
ワシントンの外交筋は「この協定が誠実に履行されれば、西海岸の排斥運動も沈静化に向かうだろう」と期待を寄せる。しかし、この「紳士の約束」が、将来にわたり両国の友好を真に担保し得るのか。新興国として台頭する日本と、排外主義の影が差す米国。両国の前途には、依然として繊細な外交努力が求められている。
— RekisyNews 社会面 【1908年】
