ヤッファ条約締結、聖地エルサレムをキリスト教徒に返還

【ヤッファ 2月18日】

海辺の町ヤッファ近郊で本日、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世と、アイユーブ朝のスルタン・アル=カーミルが交渉をまとめ、およそ十年の休戦と、エルサレムをめぐる取り決めに合意したと伝えられた。軍勢の衝突によらず、使者の往復と密談を重ねて結論に至った点が、当地の人々の耳目を集めている。

合意の骨子は、エルサレムの市街を西方の王国側へ渡し、沿岸の拠点からの往来を確保する一方、聖域についてはイスラム側の管轄と礼拝の権利を残す、という折衷案にあるとされる。市内の守りは堅固ではなく、城壁も損じたままとの噂があり、武力で奪い合えば双方に禍根を残す。双方はその損得を量り、槍よりも文書で道を開く策を選んだ形だ。

もっとも、皇帝軍の中には「聖地は完全に取り戻すべきだ」と憤る者がいる一方、イスラム側でも「譲り過ぎ」との不満が漏れるという。市場では、巡礼や交易の再開を期待する声が上がる半面、休戦が切れた後の再燃を案じるささやきも絶えない。和平は紙の上で結ばれた。次に問われるのは、それを十年保てるだけの忍耐と統率である。

— RekisyNews 国際面 【1229年】

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