プッチーニ新作『蝶々夫人』、スカラ座で初演

【ミラノ 2月17日】

伊作曲家ジャコモ・プッチーニの新作歌劇『蝶々夫人』が今夜、当地スカラ座で初演された。物語は極東の港町を舞台に、海軍士官と若い日本女性の縁を軸に進む。原作は近年上演された異国情緒の戯曲に拠ったとされ、脚本家ジウゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカが詞を整えたという。

幕が上がると、舞台には障子や庭の意匠、祭礼を思わせる小道具が置かれ、合唱は異国の旋律を思わせる断片を織り交ぜた。観客は新奇さに目を凝らしたが、二幕ものの大作は後半にかけて長く感じられ、場内には喝采とともに笑い声や野次も混じった。終演の拍手は割れ、初演は不評に終わったとの声が早くも広がっている。

舞台裏では、完成が遅れたため稽古が十分でなかったとも伝えられ、合唱の入りや場面転換に粗さが見えた。一方、主演歌手は可憐さと哀切を両立させ、管弦は波音や遠い軍楽を思わせる色合いで人物の心情を支えた。客席の音楽家は「異国の情景を音で描く試みは新しいが、構成の締め直しが要る」と語った。

ロビーでは、擁護と酷評が交錯した。「胸を刺す哀切がある」とする若い聴衆がいる一方、「長さが集中を削ぐ」との指摘も根強い。初日の客席には貴紳の姿も多く、幕間ごとに囁きと足音が広がった。劇場側は近日中の再演を予定しつつ、反応を見て判断するという。作者は改稿を施し再び舞台に載せるのか――この新作が騒然を越えて広く定着するかが見ものだ。

— RekisyNews 文化面 【1904年】

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