金融緊急措置令を公布施行、新円切替始まる

【東京 2月17日】

将来の急激な物価高を抑えるため、政府は本日、「金融緊急措置令」を公布施行し、いわゆる新円切替の非常措置に踏み切った。金融機関の預貯金は封鎖され、市中に出回る5円以上の日本銀行券は原則として強制的に預け入れを命じられる。旧券は近く流通の差し止めとなる見込みで、当面は新しい日銀券での支払いへ切り替える方針だ。払出しは生活費・事業費などに限って認められ、世帯主と家族数に応じた月ごとの上限のもとで行うという。

都内の銀行や郵便局の窓口には早朝から人が列をつくり、封筒に札束を詰めて持ち込む姿が目立った。行員は「預入の順番札」を配り、通りには「旧券は預け入れを」との貼り紙が増える。商店主は釣り銭の確保に神経をとがらせ、米穀店や雑貨店では「現金払いは控えてほしい」と告げる札が下がった。露店では品の動きが鈍り、買い手は財布を確かめながら値切り、売り手は「明日からどうなる」と顔をしかめた。

工場や役所では賃金の現金支払い方法が話題となり、手形や振替の利用を急ぐ動きも出ている。市電の車内や闇市の片隅でも、紙幣の見分け方や引き出しの上限をめぐる噂が飛び交い、落ち着かない空気が広がった。新券はまず十円券・百円券が中心とされ、回り方によっては小銭不足も懸念される。

当局は、流通通貨を急減させて物価の奔騰を抑え、財産把握と課税準備も進める狙いだとして、買いだめや取り付けを慎むよう呼びかけている。戦後の混迷の中、現金の扱いそのものが新たな規則に組み込まれる今回の措置が、闇取引を弱め生活を立て直す契機となるか、国民の視線が集まっている。

— RekisyNews 経済面 【1946年】

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