最後の移民船「にっぽん丸」横浜を出航

【横浜 2月14日】

本日午前、横浜港大さん橋ふ頭から、戦後日本の海外移住事業を支えてきた移民船「にっぽん丸」が出航した。同船はこれが最後の移民航海となる見込みで、関係者の間には一つの時代の幕引きを惜しむ声が広がっている。

港には家族や見送りの市民が集まり、汽笛が鳴り響くなか、岸壁では手を振る人々の姿が続いた。甲板に立つ移住者たちは、これから新天地へ向かう決意と不安を胸に、静かに港を後にした。

戦後、日本は中南米諸国を中心に多くの移住者を送り出してきた。農業移住をはじめとする海外移住政策は、国内の人口問題や生活基盤の確立を背景に推進され、数多くの家族が遠い海を渡った。しかし高度経済成長を経て国内雇用が拡大し、海外移住の流れは次第に減少していた。

関係当局は「移住事業は時代の要請に応じて役割を果たしてきた。今後は形を変えた国際交流の時代に入る」とコメントしている。

「にっぽん丸」の出航は、日本の組織的な海外移住の歴史に一区切りを告げる象徴的な出来事となった。海上に小さくなる船影を見つめながら、港にはしばし静かな余韻が残った。

— RekisyNews 社会面 【1973年】

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