【奈良 2月14日】
本日、太政官布達に基づき奈良の春日山麓一帯が公園として開設された。東大寺、興福寺、春日大社など古刹名社を囲む広大な地域が一般に開放され、名勝の保存と市民の遊覧を兼ねた新たな施策として注目を集めている。
明治政府は、近年各地で進められている公園設置の方針の一環として、古来より風致に富む奈良の地を指定。とりわけ春日山原始林や若草山の景観は広く知られ、訪れる者も年々増加していた。今回の開設により、歴史的遺産と自然景観を一体として保護する取り組みが本格化することとなる。
園内では従来から人々に親しまれてきた鹿の姿も見られ、参詣客や見物人らがのどかな光景を楽しんでいる。地元住民の一人は「古都の誇りが守られる」と語り、新たな観光地としての発展に期待を寄せた。
政府は、無秩序な開発を抑え、名勝旧跡を後世に伝える方針を明確にしており、近代国家にふさわしい景観保全の象徴的事業と位置づけている。奈良公園は今後、文化と自然が調和する憩いの場として広く親しまれることが見込まれる。
— RekisyNews 社会面 【1880年】
