【ウィーン 2月11日】
本日、ウィーンにおいて、作曲家 アントン・ブルックナー の交響曲第9番が初めて演奏され、長年待ち望まれてきた遺作がついに公の場に姿を現した。
交響曲第9番は、1896年に作曲者が世を去るまで推敲が重ねられた作品であり、完成していたのは3楽章までとされる。今回の初演では、その遺された楽章が演奏され、荘厳かつ深遠な音楽世界がウィーンの聴衆に強烈な印象を残した。
冒頭から重厚な和声と緊張感に満ちた構成が展開され、祈りにも似た旋律と激しい感情のうねりが交錯する。特に終楽章に代わる形で演奏された第3楽章では、静謐さと崇高さが際立ち、作曲者が晩年に到達した精神的境地を感じ取る声も多く聞かれた。
会場では、作品の難解さに戸惑いを示す反応が見られた一方、その壮大な構想と深い精神性を高く評価する声も少なくなかった。演奏終了後には、慎重ながらも敬意を込めた拍手が送られ、ブルックナーの名を改めて音楽史に刻む瞬間となった。
未完という形をとりながらも、この交響曲第9番は、作曲家が生涯を通じて追い求めた信仰と音楽の結晶として、今後も議論と評価を呼び続けることになりそうだ。
— RekisyNews 文化面 【1903年】