【レドモンド/ニューヨーク 8月24日】
本日、マイクロソフトは新OS「Windows 95」英語版を世界で発売開始した。米各地の量販店は午前0時に合わせて開店、行列ができ、テレビCMではローリング・ストーンズの『Start Me Up』が流れるなど、PCソフトとして異例の熱気となった。
新OSはタスクバーと「スタート」ボタン、エクスプローラーを中核に、デスクトップとアプリ起動、ファイル管理を一体化。32ビットアプリのプリエンプティブ・マルチタスク、長いファイル名(最大255文字)対応、プラグ・アンド・プレイによる周辺機器設定の自動化をうたう。
通信機能ではTCP/IPとダイヤルアップ・ネットワーキングを標準搭載し、家庭からのインターネット接続の敷居を下げる。CD-ROMドライブやサウンド機能を前提としたマルチメディア環境も強化された。
推奨動作は486級以上・メモリ8MB前後。Windows 3.1からのアップグレードも用意され、企業は互換性検証と展開計画の策定に追われている。開発者向けにはWin32 APIが本格化し、アプリの移行と新規ソフトの登場が見込まれる。
日本では店頭デモと予約受け付けが始まり、日本語版は後日発売の見通し。周辺機器各社は対応ドライバーの提供を急ぎ、量販店は「年末商戦の主役」と期待を語る。一方で旧資産の移行や教育コスト、ネット接続のセキュリティ確保など課題も残る。
PCが職場の道具から家庭の“窓”へ―新しいユーザー体験が、大衆市場をさらに押し広げるか。きょう鳴り響いた「Start」の合図は、ネット時代の幕開けを告げている。
— RekisyNews 科学・IT面 【1995年】