【東京・秋葉原/茨城・つくば 8月24日】
本日、首都圏新都市鉄道「つくばエクスプレス(TX)」が全線開業し、秋葉原—つくば間が新線で結ばれた。朝の一番列車では駅前で出発式が行われ、沿線自治体の関係者と家族連れが小旗で見送った。新線はおおむね北東へ伸びる約58キロの高規格ルートで、都心直結の新しい通勤・通学動脈としての運行を開始。最速列車で都心—学園都市の所要は約45分となり、これまでのバス接続や乗換の負担が大きく軽減される。
運行は「快速」「区間快速」「普通」の三本立て。地下・高架を主体に踏切を極力排した線形と、列車集中制御などの保安システムにより、定時性と速達性の両立を図る。駅はバリアフリー化が進み、エレベーターや多機能トイレ、分かりやすい動線案内を整備。車内はワイドドアと広めの通路で混雑緩和に配慮した。
沿線では、流山おおたかの森や守谷、研究学園など新拠点の整備が進み、住宅・商業・研究機能の集積が加速。秋葉原側でも再開発が進展し、電気街とオフィス・観光の回遊が見込まれる。物流面では、つくば周辺の農産・研究関連の人流が太くなり、企業立地や大学・研究機関との連携強化への期待が高い。
一方で、朝夕の混雑対策やダイヤの増発、沿線バスとの結節強化、災害時の情報提供と復旧手順の確立など、運行と地域がともに解くべき課題も残る。事業者は「安全を最優先に、所要短縮と利便向上を積み上げる」として、順次の増備やサービス拡充を掲げた。新線の誕生が、首都圏の地図と時間感覚をどう塗り替えるのか―夏空の下、車輪は静かに走り出した。
— RekisyNews 経済・交通面 【2005年】