【東京 2月7日】
政府は本日、太政官布告をもって「敵討禁止令」を公布し、私的な復讐として行われてきた仇討ちを全面的に禁じる方針を明らかにした。武家社会の慣習として長く認められてきた行為に、国家として明確な終止符が打たれた形となる。
布告では、いかなる理由があっても個人が仇を討つことを許さず、争いはすべて官の裁きに委ねるべきであると定めている。違反した場合には厳正な処罰が科されることも示され、今後は感情や家名を理由とした私闘は一切認められない。
仇討ちは、主君や親族の無念を晴らす行為として武士の倫理と結びついてきたが、明治維新以降、政府は近代的な法秩序の確立を急いできた。今回の布告は、個人の正義よりも国家の法を優先する姿勢を内外に示すものと受け止められている。
都下では、「時代の流れとはいえ、武士の心が失われる」と惜しむ声がある一方、「争いが減り世の中が落ち着く」と歓迎する町人の声も聞かれた。ある法務関係者は、「これからは裁判によって是非を決する時代であり、私闘は文明国の制度にそぐわない」と語っている。
新政府が進める制度改革は、服制や身分の見直しにとどまらず、人々の意識や価値観そのものに変化を迫っている。敵討禁止令の公布は、封建的慣習から法治国家への転換を象徴する出来事として、後世まで記憶されることになりそうだ。
— RekisyNews 社会面 【1873年】